中東ビジネス最新情報 ・2021年2月24日

サウジアラビア政府による地域本社誘致の具体策

以前、当社のニュースにて「サウジアラビアにおける中東地域統括拠点の誘致政策(リンク)」として、サウジアラビア政府が世界的な多国籍企業の地域統括拠点をUAEのドバイからサウジアラビアのリヤドに誘致するための”Program HQ”と呼ばれる施策を推進しようとしていると紹介いたしました。本件について、具体的な施策として、サウジアラビア政府が2024年1月から、地域の統括拠点(HQ)をサウジ国外にもつ外国企業と事業契約をむすばない方針を決めたと発表しました。政府の発表によると、本決定は自国の雇用を増やすことが目的と言われていますが、実際のところは、サウジアラビアの財務大臣であるモハメド・アルジャダーン氏による「ドバイやアブダビ、その他の都市に関係なく、サウジアラビアは中東地域に置かれる企業の本社機能(地域本社)のうち、正当な分け前を手に入れる権利がある」という発言からもうかがえる通り、サウジアラビアの産業多角化を推し進める上で、企業誘致が重要な課題となっていることが背景にあると考えられます。

ロイター通信社の記事では、アメリカのシンクタンクである“Center for a New American Security(新アメリカ安全保障センター)”の非常勤シニアフェローのRachel Ziemba氏が「UAE、特にドバイの経済モデルに対してサウジアラビアが挑もうという姿勢を強めているが、ドバイは経営環境や法律、施設などの環境が非常に優れており、企業はドバイからオフィスを動かさないのではないか」と発言していることが紹介されています。

また、同記事においては、サウジアラビアにおいて同国に対する海外からの直接投資の促進をしている政府機関であるInvest Saudiが、サウジアラビア政府がサウジアラビアに本社を置かない企業と事業契約をしないという制約を加える一方で、リヤドに本社を置く企業に対して、法人税の50年間免除、サウジアラビア国民(サウダイゼーション)の採用割り当て義務の10年間免除、政府機関の入札・契約で何らかの優遇措置を受けられる可能性の提示、移転の支援、事業ライセンス発行にかかる時間の短縮、配偶者向け就労許可規則の緩和などといったインセンティブも与える方針を示していると記されています。

こうした事業環境の大きな変化は多くの企業にとって、対応が必要なボトルネックとなる可能性が高く、より早期に正確な情報を入手することが重要になってくると考えられます。

ksnコーポレーションでは、ドバイ政府機関との提携関係の下、UAEや中東市場における各種規制の調査から参入戦略の立案、現地パートナー候補のご紹介等といったご支援をさせて頂いております。また、サウジアラビアにおいても、これまでに多数の調査・コンサルティングプロジェクトの経験を有しており、幅広い分野において、調査・コンサルティングサービスを提供することが可能です。
UAE、サウジアラビア及びその他周辺国における社会情勢の変化や、現地市場への進出・販路開拓にご関心をお持ちの企業様がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問い合わせください。

参考文献:
Analysis: Saudi Arabia eyes Dubai’s crown with HQ ultimatum
(https://www.reuters.com/article/us-saudi-economy-emirates-analysis-idUSKBN2AG1I5)




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