中東ビジネス最新情報 ・2020年11月2日

オマーンにおいて2021年4月から付加価値税(VAT)の導入が決定

オマーンにおいては2020年10月中旬に、同国内において5%のVATを導入するための法案であるRoyal Decree (No. 121/2020)をハイサム国王が承認し、発令されました。VAT導入時期は、発令から約6か月後の2021年4月1日を予定しています。オマーンは、湾岸協力会議(GCC)諸国において既にVATを導入しているUAE(2018年1月より5%のVATを導入)、サウジアラビア(2018年1月より5%のVATを導入、2020年7月に15%へ引き上げ)、バーレーン(2019年1月より5%のVATを導入)の3か国に続き、4か国目のVAT導入国となる見込みです。

しかし、オマーンではすべての商品に一律にVATが課せられるわけではなく、以下の項目については、VATが免除されることが決定しています:
・基本的な食料品
・家賃
・医療
・公的教育
・公共交通機関
・不動産の売買
・グリーンフィールドの土地の売買
・特定の医療機器および貴金属、原油の輸入
上記の項目については、VATの対象から外れることから、オマーン政府は、VATの導入はただちに家計を圧迫する等のインパクトがあるものではない、との声明を発表しています。

もともと、GCC諸国では財政悪化を背景に、2015年5月より各国においてVAT導入を進めることを暫定合意していましたが、各国の足並みがそろっていない状況が続いていました。また、サウジアラビアにおける増税を受け、従来、GCCが目指していた統一税率の導入に関しても見通しが立てられない状況に陥っています。

今回の決定を受け、GCC諸国のうち、VATを導入していない国は、カタールとクウェートの2か国となります。そのうち、カタールは導入時期を明言しておらず、クウェートは2018年にVAT導入を検討しましたが、2022年以降に導入を延期することを決定しています。

IMFによるとオマーンの2020年のGDPは前年比で-16.9%となることが予想されており、原油価格の低迷と新型コロナウイルスによる経済活動の停滞によって政府の財政が圧迫されていく可能性が報じられていました。こうした状況を鑑み、今回のVAT導入の決定に至ったと考えられています。

昨今の情勢を受けて、GCC諸国は厳しい経済縮小と行政の財政悪化を経験しており、今後も様々な政策が迅速に導入されていくことが予見されるため、当該地域において事業展開を行う際には、現地の状況についての入念な情報収集が重要になってくると考えられます。

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