中東ビジネス最新情報 ・2021年7月6日

GCCにおける政府のデジタル化の動向

湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council, GCC)の各国においては、政府のシステムをデジタル化する傾向が数年前から始まっていました。近年、GCC各国の政府はデジタルサービスの範囲と機能をより拡大し、市民に対して質の高いサービスを提供しようとしています。

新型コロナウイルスの蔓延により、行政の手続きを対面で実施することが難しい環境となり、GCC各国のこの動きはさらに加速しました。政府及び行政サービスのデジタル化は、国民の利便性を向上させると同時に、政府にとってはサービスの効率化をもたらしています。例えば、UAEにおいてはNational Digital Identity及びDigital Signature ソリューションを持つ“UAE PASS”というアプリが政府より提供されています。同アプリは各政府機関の提供しているデジタルサービスを一元化しているアプリで、一つのユーザーネームとパスワードを記憶するだけで、UAE政府の様々なサービスを受けることが可能であることを売りにしています。
今後は、同アプリが電子署名の役割を担い、書類に署名するために行政機関を訪問する、という手間を省いて、アプリ上で様々な行政手続きが進められるようになる見込みです。
また、サウジアラビアにおいては、保健省(Ministry of Health, MOH)が“Tawakkalna”というプラットフォームを立ち上げ、新型コロナウイルスに関する最新情報や対抗する方法等の情報を提供し、同じプラットフォームでワクチン接種情報についても、情報提供をしています。

このような動きを経て、GCC各国の政府がグローバルレベルでデジタルサービスのリーダーに近づいています。Boston Consulting Group社が実施した、2020年デジタル政府市民調査(Digital Government Citizen Survey, DGCS)においては36の国々が調査対象となり、その中でサウジアラビア、UAE、カタールがそれぞれ2位、3位、4位にランクインしました。また、GCCの各国におけるユーザーによるデジタルサービスの採択率は61.3%でした。さらに、UAEとサウジアラビアにおいては、国民の行政のデジタルサービスに対する満足度が76%と73%を示し、満足度スコアの上位に入っています。このように、各国政府によるサービス提供のデジタル化は非常に高いペースで進んでおり、また、国民もデジタル化を歓迎している傾向が見受けられます。

今後の課題としては、国民の個人情報が政府のシステムに保管されていることに対する信頼性を向上させるため、デジタル化されたシステムのセキュリティーをより強化することが考えられます。GCC各国においては、AI等の新たな技術の導入も非常に盛んであり、これからもデジタル化の潮流はさらに強まっていくと考えられます。

ksnコーポレーションでは、ドバイ政府機関との提携関係の下、UAEや中東市場における各種規制の調査から参入戦略の立案、現地パートナー候補のご紹介等といったご支援をさせて頂いております。また、GCC全体においても、これまでに多数の調査・コンサルティングプロジェクトの経験を有しており、幅広い分野において、調査・コンサルティングサービスを提供することが可能です。GCC市場への進出・販路開拓にご関心をお持ちの企業様がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問い合わせください。

参考文献:https://gulfbusiness.com/gcc-how-can-digital-government-services-seize-opportunities-to-accelerate-trust/

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