中東ビジネス最新情報 ・2018年5月12日

アブダビ国営石油の新サプライヤー評価システム 「ICVプログラム」

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UAEと言えば石油、というイメージを持たれる方が多いと思います。そしてこのイメージの象徴が、UAEのほぼ全ての油田を握っているアブダビの国営石油会社(ADNOC)です。
ADNOCと取引をしている、もしくは今後取引をしたいと考えていらっしゃる日本企業様も多いと思います。
今回は、そのADNOCが今年の3月より新たに導入したサプライヤー評価システム、ICV(In Country Value)プログラムについて紹介したいと思います。

ICVプログラムの内容

ICVプログラムとは簡単に言うと、ADNOCが入札案件において落札者を決定する際に用いる各サプライヤーの評点を定めるプログラムです。
入札案件というと最も安い価格を提示した会社、もしくは提案内容が優れている会社が落札するというイメージがありますが、ADNOCは入札参加者のうち、このICVの評点が高い会社から順に優先順位付けをするとしています。
要するに、ライバル企業のICV評点が自社よりも高い場合、ライバル企業よりも安い価格で入札しても、落札できない可能性があるということですので、いかにこのICVの評点が重要かということが分かります。
ICVの評点は、アブダビに対してどれだけ投資をしているか、またアブダビ人を何人雇用しているかなどといった観点から機械的に算出されます。
ここから分かるように、ICVはアブダビに対しどれだけ貢献しているかということを評価の尺度としており、ADNOCはこの制度を導入することで、アブダビ政府が目指している産業多角化を推進しようとしているのです。
現段階ではICV評点を保持していることがADNOC入札案件への参加資格とはなっていませんが、この評点がなければかなり不利な状況になることは間違いありません。


直接ADNOCと取引をしていなくともICVが必要になる点に注意

中にはADNOCに対して機器を納めている会社と取引をしている、というケースもあるかと思いますが、こうしたADNOCと直接取引をしていないケースにおいても、最終顧客がADNOCの場合はICVが重要となります。
なぜならADNOCと直接取引をする会社のICV評点は、彼らの調達元の会社のICV評点に影響を受けるからです。
したがって、今後はADNOCの入札に参加している会社と取引をする際には、同社よりICVで高い評点を取るように求められるケースが出てくるものと考えられます。


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