中東ビジネス最新情報 ・2018年8月18日

UAEは日本の宇宙ビジネスパートナーとなり得るか

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アラブ首長国連邦宇宙機関(UAE Space Agency)の発表によると、2017年の投資金額は約5,500億円にも上り、その数字は日本の2018年度宇宙関係予算の約3,420億円を大きく上回っています。
アラブ首長国連邦宇宙機関が火星移住計画を発表してからは、日本でもより一層UAEの宇宙産業が注目される様になりました。

初の国産衛星へ UAEは2009年に初の人口衛星「DubaiSat-1」を、2013年には「DubaiSat -2」をロシアから打ち上げていますが、いずれも韓国との共同開発であり、三菱重工業株式会社のH-IIAロケットによる打ち上げを2018年内に目指している「KhalifaSat」が初の国産衛星となります。
衛星名にはハリーファ(Khalifa)UAE大統領名が付けられ、このプロジェクトが国家の威信をかけた事業であることがわかります。
さらにアラブ首長国連邦のドバイ政府宇宙機関であるMBRSC(The Mohammed bin Rashid Space Centre)は、火星探査機「アル・アマル」を2020年に打ち上げる予定です。
尚、この打上げも三菱重工業が受注しておりH-IIAロケットを使用します。
「アル・アマル」はUAE建国50周年を迎える2021年に、中東初となる無人探査機の火星到着を目指します。

火星移住計画の進捗状況 また、2017年9月には、人類が進める火星探査・移住計画を後押しすべく、アラブ首長国連邦はドバイの砂漠地帯に火星シミュレーション都市を建設する計画(Mars Science City Project)を明らかにしました。
これはMars2117と呼ばれる2117年までに火星に”小型都市”を建設する移住計画の一環で、約170億円の予算が組まれ、総面積190万平方フィートの敷地内にドーム型の居住空間や研究施設の他、ミュージアムやレクリエーション施設が建設される予定です。

UAE初の宇宙飛行士誕生へ 現在スペースセンターには200人のUAE国民が技術者として働いています。
2018年3月に行われたUAE初となる宇宙飛行士の募集には、17歳から67歳の4,000人ものUAE国民が応募をし、その内の25%は女性であったということです。
9人まで絞り込まれた候補者達は現在もモスクワで試験を行っており、2019年春に国際宇宙ステーションに飛び立つ予定となっています。

2019年には第22回目の開催となる国際宇宙航行アカデミーのシンポジウムが、中東・北アフリカとしては初めて、ドバイで開かれることが決まっています。
また、NASAが主催する9歳~14歳の学生向けプログラムが現在ドバイで開催されており、航空力学やロケットのデザイン、宇宙空間での生活方法などをNASA職員が直々にレクチャーをします。
このキャンプはUAEで初めて開催されるもので、子供達が将来宇宙を目指すことを期待されています。

高い技術力を持つ日本の宇宙産業は、コスト削減を目指すことと相まって、民間企業の進出が始まっています。
UAEでもエンジニア職人気が高まっており、宇宙ビジネスは今後の発展が大いに期待されます。
JAXAとアラブ首長国連邦宇宙機関が2016年に正式に機関間協定を結んだ様に、今後は日本とUAEがパートナーとなる宇宙ビジネスが増えてくることでしょう。

<文中の事象年表>
2009  初の人口衛星「DubaiSat-1」打上げ
2013  人工衛星「DubaiSat -2」打上げ
2016  JAXAとUAE Space Agency協定調印
2018  初の国産衛星「KhalifaSat」打上げ
2019  UAE初の宇宙飛行士誕生、国際宇宙航行アカデミーシンポジウム
2020  火星探査機「アル・アマル」打上げ、Mars Science City Project第1フェーズ完成

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