中東ビジネス最新情報 ・2017年12月21日

SNSで話題のサウジ発アプリ「Sarahah」と中東のスタートアップ市場

ここのところTwitterやInstagramで「Sarahah」というアプリを使った投稿が急速に増えています。
実はこのSarahahは、中東・サウジアラビアのスタートアップ企業が開発したプロダクトです。

アラビア語で「正直な」という意味をもつ「Sarahah」は、アカウントを持つ相手に対して匿名メッセージを送信できるアプリです。
リリースされたのは2017年6月で、海外では8月頃から話題になりはじめていました。

11月頃から日本でも流行が始まり、同月下旬にはApp Storeでダウンロード数ナンバーワンを達成しました。
国産の類似サービス「Peing」も登場し一気に広まるなど、匿名メッセージアプリがにわかに盛り上がっています。

Sarahahは、もともとは従業員や友人からのフィードバックを得ることを目的として開発されたものですが、SNS上ではインフルエンサーがSarahahでフォロワーから届いた匿名質問に答える、といった使い方が中心になっています。

このように日本でも盛り上がりを見せるプロダクトを開発し始めている中東のスタートアップ企業。
現地ではどのような市場が形成されているのでしょうか?


中東のスタートアップ投資額

日本で話題になることは少ないですが、実はこれまでの中東では多くのスタートアップ企業が大型のイグジットを達成しています。
今年3月には、現地EC企業のSouq(UAE発)がAmazonに5.8億ドルで買収され世界中で大きな話題となりました。
それより以前には2009年にポータルサイトのMaktoob(ヨルダン発)がYahooに1.64億ドル、2015年に食品宅配サービスのTalabat(クウェート発)も1.5億ドルでRocket Internetに買収されています。

中東のスタートアップ情報サイト「Magnitt」によれば、中東・北アフリカ地域(MENA)には約3,000のスタートアップ企業があり、2013年〜2015年の間の調達額は10億ドル、2016年だけで8.7億ドルの調達を達成したとのことです。
こうした統計からは、中東のスタートアップ市場の調達規模が大きいだけでなく、近年市場が急速に盛り上がっていることが分かります。

原油資源の枯渇を見据え、産業の多角化を目指す中東の国々にとって、最新技術を活用したスタートアップビジネスは雇用と富を創出する中心の手段になっています。
先日ドバイで行われたドローンタクシーの実証実験や、UAEに新しく誕生した「AI担当大臣」というポストなどを見ても、政府もこうしたビジネスを力強く後押ししていることがわかります。
こうした市場の盛り上がりは、世界経済フォーラムのレポートでも紹介されています。

参考:世界経済フォーラムウェブサイト


税制優遇のあるフリーゾーンなど、最適な環境

このような市場の成長だけではなく、もともと豊かな中東諸国では税金等のコストが低いことも、スタートアップ市場の盛り上がりを支えています。
特にドバイでは「フリーゾーン」と呼ばれる経済特区内において、税金の免除といった制度上の優遇が得られることに加え、ITや先端科学、メディアといった特定ジャンルの企業交流を促し、さらに資金調達のサポートも行うインキュベーション機能を提供しています。
たとえばITでは「Dubai Silicon Oasis」、先端科学では「Dubai Science Park」、メディアでは「Dubai Media City」、デザインでは「Dubai Design District」といった具合に様々な特徴を持ったフリーゾーンが設立・運営されています。




Dubai Silicon Oasisの街中風景(出所:Dubai Silicon Oasis 公式ウェブサイト)







Dubai Science Parkの全景(出所:Dubai Science Park 公式ウェブサイト)







Dubai Media Cityのメインオフィス外観(出所:Dubai Media City 公式ウェブサイト)








Dubai Design Districtのオフィス内観(出所:Dubai Design District 公式ウェブサイト)





日本からの進出例も徐々に増える

こうした市場の盛り上がりを踏まえ、日本のスタートアップ企業による中東市場進出も徐々に進んでいます。
DMMは日本でも展開する3Dプリンターを備えたものづくり施設、「DMM.make」をドバイにも展開しています。
また、JETROがアレンジした現地のテクノロジー系展示会、「GITEX」には日本からホームセキュリティソリューションの「Secual」や忘れ物防止・発見用商品の「MAMORIO」などの企業が出展し、現地メディアからも紹介を受けています。

リンク:現地メディア「Khaleej Times」による日本のスタートアップ企業紹介記事


このように中東、ドバイでは調達を狙うスタートアップ企業にとっても、投資先を探すVCにとってもチャンスが溢れる市場になっています。
ksn Research & Consultingでは現地への視察をはじめとした市場調査、現地法人設立を見据えたフリーゾーンの選定等について積極的にお手伝いさせていただいております。
簡単な情報提供からでもお役に立てればと思いますので、ご関心やご不明な点等あれば是非一度お問い合わせください!


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