中東ビジネス最新情報 ・2018年7月3日

アブダビの産業育成を担う国営企業「Senaat」

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6月10日の弊社記事「アブダビ政府が脱石油依存に向け1.5兆円の経済政策パッケージを発表」で1.5兆円規模の経済対策が実施されることを紹介したように、産業育成・多角化に向けて大きな動きを見せているアブダビですが、今回はそのアブダビにおいて基礎産業の育成を担っているSenaatという国営企業について紹介したいと思います。

アブダビは同首長国が2008年に制定した長期経済計画である「Abu Dhabi Economic Vision 2030」を旗頭に、基礎産業の育成及び産業の多角化を推し進めています。
アブダビは産油国として有名でそのGDPの大半を石油・ガス産業により稼ぎ出している状況ですが、この計画では、2030年までに非石油・ガス由来のGDP比率を64%まで高めることを目標としています。
この目標を達成するために、アブダビはKIZAD(Khalifa Industrial Zone Abu Dhabi)という港湾が整備された製造業向けの工業地域/フリーゾーンを新たに設立するなど工業インフラの整備を進めていますが、同首長国の産業育成において大きな役割を果たしているのがSenaatという国営企業です。
Senaatはホールディングカンパニーとして機能しており、その傘下にはEmirates Steelという鉄鋼(電炉)メーカー、NPCCという石油・ガス産業に強いエンジニアリング/建設会社、TALEXというアルミ加工(押出)会社など、アブダビの基礎産業の錚々たる顔ぶれが並びます。
日本勢でもJFEスチールと伊藤忠丸紅鉄鋼がSenaatとAl Gharbiaというラインパイプを製造する会社を立ち上げており、同社は今年より工場を稼働させる予定となっております。
Senaatは業績も好調であり、2017年の売上は前年比18%増の160億ディルハム(約4800億円)となり、またEBITDAも21億ディルハム(約630億円)に達したと発表しています。

UAE/アブダビには外資規制があり、フリーゾーンを除くUAE内地では外資企業の持ち分の上限が49%に制限されています。
こうした外資規制をクリアするためにはもちろんですが、事業を円滑に進めるにあたっては現地マーケットを熟知したローカルパートナーの存在は欠かすことができません。
先述した通りアブダビは産業多角化に取り組んでおるため、それに貢献できる可能性のある事業(特に製造業)であれば、このSenaatは有望なローカルパートナー候補になるものと考えられます。

ksnコーポレーションではこうしたSenaatなどアブダビの国営企業にもネットワークを持ち、中東市場における各種規制の調査から参入戦略の立案、現地パートナー候補のご紹介といったご支援をさせて頂いております。UAEへの進出や販路開拓にご関心をお持ちの企業様がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問合せください。



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